POSTAL SERVICE/Give Up 

Give Up

Give Up


バンドマンなら一人残らずみんな大好きバンドのひとつ、四人組のインディーギターロックバンドDeath Cab For Cutie。インディーってゆっても何年か前にメジャーで出してビルボードで一位を獲ったりした。

初めて聴く人はまずみんな楽器のアンサンブルにびっくりする。各フレーズのキャッチーさ、緩急の付け方、絶妙な雰囲気の演出、録音やミックスの域まで、それはもうすげーおしゃれによく出来ている。やたらにアレンジ凝ったポストロックやってる人なんかは、このバンドを崇めていると決めつけていい。まず間違いない。
そしてなによりボーカルのベン・ギバートのソフトでアンニュイ過剰な優しい声とメロにやられてしまう。またそれがインディーギターロックバンドなら100点って感じの声で、たまらんのです。

そのベン・ギバートが&recordsのエレクトロユニットDNTELとタッグを組んだのがこのPOSTAL SERVICE。

当時の僕は、同期ものを扱えるバンドを作りたかったかなにかで、生楽器が入っておらずシンセメインの音作りをする音楽を意識してたくさん聴いていた。わかりやすいテクノやハウスから入ったはずが気付いたらWarpっぽいハードなブレイクコアドラムンベースにぶち当たって、そこから引き返してバグルスペット・ショップ・ボーイズデペッシュ・モード辺りを行ったり来たり、路頭に迷ってしまっていた。

Sub Popにとってニルヴァーナ以来のプラチナディスクになったこのアルバムは、当然の如く日本盤が発売されて各所で大々的に展開されてた。あまり売れてる感じは無かったけど、どの媒体もとにかくべた褒めしてた。札幌タワレコにて貼ってあったポップが誇大広告じゃなかった唯一の例。
それも『エレポップの伝説的名盤!』。

プラスチック・オペレーターのデビュー盤やマーキュリーレブのうさぎのジャケットのやつなんかと一緒に買って、でもほとんどこれしか聴かなかったことをよく覚えてる。

トラックのセンスが当時のエレクトロニカ界隈のアーティストの中ではズバ抜けて優れていて、ぎりっぎりの引き算の結果みたいな音数の少さなのに、なのにならずだからこそ、一音一音とにかく聴いていて気持ちよくて、どの曲もイントロで脳汁ドバドバオルガズム迎えまくり、これすげーいい曲だよ絶対、なのにさらにベン・ギバートの歌う美メロが来て、キター!うわー、このままサビまでいったらどうなっちゃうの、こわいよーってなった。ていうか今でもなる。PVも洗練されまくってて引いたな。ここまでおしゃれだと逆に人に薦めづらいわって思った。

ポスタルは一枚で終わってしまったけれど、きっとこれより完成度の高いアルバムなんてもう作れないだろうから、またやってなんて言わない。
だれにでも薦められるアルバムだと思いました。
思ってました。